ほんたいせいこうけつあつしょう

本態性高血圧症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

本態性高血圧症とは、高血圧症のうち、血圧が高くなるはっきりとした原因が特定できない場合に診断がなされます。はっきりした原因がある高血圧症は、二次性高血圧症と呼ばれ、腎実質性高血圧、腎血管性高血圧、内分泌性高血圧(原発性アルドステロン症クッシング症候群褐色細胞腫など)、睡眠時無呼吸症候群、遺伝性高血圧、薬剤誘発性高血圧といったものが挙げられます。

本態性高血圧症は、高血圧症患者のうち85-90%を占め、一般的に「高血圧」という場合は本態性高血圧症を指すことが多いです。塩分摂取過多、肥満、運動不足、ストレス、加齢、遺伝的な要因により発症するリスクが高まると考えられており、生活習慣の改善や降圧薬による治療が行われます。

原因

本態性高血圧症において、高血圧をきたす明らかな原因は特定できませんが、塩分摂取過多や肥満、運動不足などの環境要因と、遺伝的な要因が組み合わさって発症すると考えられています。
 

症状

本態性高血圧症に関して特徴的な症状はほとんどなく、無症状で経過する場合も多いです。しかし、放置して進行すると動脈硬化をきたし、脳梗塞/脳出血心筋梗塞などの重篤な疾患のリスクを高めることが知られています。また、心臓に負担をかけることで心不全の原因となったり、腎臓の機能を低下させる危険因子となったりするため、症状がなくてもしっかりと血圧をコントロールすることが重要です。
 

検査・診断

血圧測定

血圧計による血圧測定が診断の基本です。しかし、血圧測定は測定条件や周囲の環境で値が変動しやすいので注意が必要です。

一般的によく用いられる指標は、病院の診察室で測定する診察室血圧と、診察室以外で測定する家庭血圧、自由行動下血圧があります。主に自宅で測定される家庭血圧は、診察室血圧に比べ、継続的に多くの回数の血圧を測定可能なため服薬による治療効果の判定や、診察室血圧のみが高い「白衣高血圧」、または逆に家庭血圧のみが高い「仮面高血圧」の有無を調べることができます。

年齢や他の疾患(糖尿病慢性腎臓病など)の有無によって数値は異なってきますが、現在の日本のガイドラインでは診察室血圧が140/90mmHg未満、家庭血圧が135/85mmHg未満が正常血圧とされています(75歳未満でリスク疾患なしの場合)。

血液検査・尿検査

これらの検査は前述の二次性高血圧をきたすような疾患(ホルモンに異常が出る内分泌疾患)の有無、糖尿病や脂質異常症などの動脈硬化のリスクになるような疾患の有無、腎臓の機能低下の有無などを調べる目的で行われます。

胸部レントゲン・心電図検査

高血圧によって心臓に負担がかかり、心肥大が起こりやすくなります。また、動脈硬化により心筋梗塞などの虚血性心疾患のリスクも高まるため、これらの検査を行い心臓の評価を行う場合があります。

頸動脈エコー・足関節上腕血圧比(ABI)

動脈硬化による血管の異常がないかを調べるため、頸動脈エコーや足関節上腕血圧比(下肢の血管の詰まり具合を評価する検査)を行います。

治療

本態性高血圧症の主な治療方針は生活習慣の改善と薬物治療です。生活習慣の改善のみで血圧コントロールが不十分な場合に薬物治療が行われます。

生活習慣の改善

(1)食生活の改善:塩分6g/日未満、野菜・果物の摂取、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取制限などが推奨されています。

(2)運動療法:有酸素運動を中心に定期的な運動を行うことが目標です。

(3)減量:体重[kg] ÷ {身長[m]}2 で計算されるBody Mass Index (BMI)が25kg/m2未満が目標とされています。

(4)禁煙

(5)節酒

降圧薬による薬物治療

降圧薬には多くの種類があり、単一の薬剤で効果が少ない場合は複数の薬剤を組み合わせて処方する場合もあります。最近では2つの薬剤が1つの錠剤に含まれる「合剤」と呼ばれる降圧薬が処方されるケースも増えてきています。

(1)カルシウム拮抗薬:血管の収縮を抑制することで血管を拡張させ血圧を低下させます。

(2)アンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB):アンギオテンシンIIという血圧を上げる作用を持つ物質の働きを抑えることで血圧を低下させます。

(3)アンギオテンシンII変換酵素阻害薬(ACE-I):アンギオテンシンIIが作られないようにすることで血圧を低下させます。

(4)利尿薬:尿を出すことで血管内の水分を減らし、また尿と一緒にNaを排出させることで、血圧を下げます。

(5)ベータ遮断薬、アルファ遮断薬:交感神経の作用を抑えることで血圧を低下させます。

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